高専卒業生が考える高専のメリットとデメリット
こんにちは、極貧のマロです。
今回は高専のメリットとデメリットを高専卒業生である私の経験をベースに書いていきます。
デメリットに関しては、その解消案を私なりに考えていますので、ぜひそちらもご覧下さい。
※高専は全国にあります。本内容は全ての学校に当てはまらないかもしれません。その点ご注意を。
1 私の略歴
まずは、私の略歴について簡単に紹介します。
2 高専とは
高専とは、どういう学校なのかを説明します。
中学卒業後に入学する、5年制の学校です。
(高校を卒業した後、高専の4年生に編入学することもできます)
高校と同じ基礎科目(国語や社会、英語など)に加えて、学科に応じた工業に関する専門科目を勉強します。
卒業後は、高専専攻科や大学への編入学、就職といった道を選ばれる方が多数です。
特に、就職率は高く、大手企業に就職している方も多くいらっしゃいます。
3 高専に入るには?
入試の種類を紹介します。
※各高専によって種類が異なることがあります。
※ご注意ください。
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推薦入試
面接や小論文、中学での成績によって評価する試験です。
筆記試験を設けている学校もあります。
受験資格に中学での成績を条件としている場合が多いです。
例えば、中3のとき9教科の成績が5段階評価で36以上を取っている人でないと推薦入試を受けられないという決まりがあります。
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学力入試
いわゆるペーパーテストです。
国語、社会、数学、理科、英語の5教科の試験を設けている学校が多いです。
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体験実習入試
実際に実験のような実習をして評価される入試です。
かなりレアなケースでこれを採用している高専は少ないです。
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高専の入試情報
下記URLのページに全国の高専の入試情報がリンクでまとめられております。
詳細については、そちらをご覧下さい。
4 高専の授業
高専は5年間ですが、各学年で何を勉強するのか簡単に紹介します。
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1年生
一般科目がメインのカリキュラムです。
一般科目とは、国語や数学、物理など高校で習う内容や高学年では英語や英語以外の外国語等です。
もちろん、専門科目や実験(例えば、電気科なら電気回路とか)もカリキュラム内に盛り込まれています。
「一般科目:専門科目=70%:30%」といった感じです。
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2年生
こちらも一般科目がメインのカリキュラムです。
専門科目は、1年生のときより増えます。
「一般科目:専門科目=60%:40%」といった感じです。
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3年生
1年間で習う教科数が増えます。また専門科目が多くなります。
専門科目の内容も1、2年生で習った内容の応用が増えてきます。
一般科目も専門科目も合わせて、教科数が増えるのでテスト勉強が大変だった記憶があります。
「一般科目:専門科目=50%:50%」といった感じです。
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4年生
一般科目がほとんど減り、専門科目がメインのカリキュラムで選択制の科目が出てきます。
一般科目は、英語や第二外国語(中国語やドイツ語などの中から1つ選択)、体育などです。
4年生からは、選択制が導入され、卒業に必要な単位を計算して科目の履修を行います。
「一般科目:専門科目=15%:85%」といった感じです。(選択する科目によって比率は変動します)
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5年生
一般科目は、4年生のときと同じような科目が設定され、専門科目では、卒業研究という1番大事な科目が始まります。
卒業研究では、入りたい研究室(自分の学科の先生は教授や准教授と呼ばれる方々で研究室を持っています)を選び、研究テーマを決めます。
そのテーマに沿って課題解決の手法を自ら選択し、その結果をデータでまとめたり、みんなの前で発表したりします。
「一般科目:専門科目=5%:95%」といった感じです。(選択する科目によって比率は変動します)
5 高専のメリット
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学費が安い
年間の授業料は、約24万円です。
(授業料改訂が行われると変動します)
高専5年間と高校→大学1〜2年生では、トータルの授業料が違ってきます。
▶︎高専1〜3年生
高専1〜3年生の間は、高校の就学支援制度が適用されます。
なので、高専1〜3年生では、高校と同じと考えていいでしょう。
▶︎高専4〜5年生
・国公立大学1〜2年生:約54万円(1年間)
・高専4〜5年生:約24万円(1年間)
高専の方が、1年間で約30万円安いです。
高専卒業後、専攻科に進むと大学卒と同じ学歴になります。
その場合だと、大学4年間(約216万円)と高専+専攻科(96万円)では、120万円もの差が生まれます。
私立の大学の場合、国公立大学よりも授業料が高いので、さらに高専のお得感が増します。
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就職率が高い
高専卒の就職率は、ほぼ100%です。
企業、官公庁は、学生の専門性の高さを評価してくれているのでしょう。
さらに、高専卒は一般的に短大卒と同じ学歴であることから、賃金も大卒や院卒に比べて安いことも就職率が高い理由の1つだと考えます。
就職先は、専攻している専門学科によりますが、製造業、情報通信業、建設業、インフラ関係がほとんどかと思います。
例えば、私が卒業した電気系学科の場合、家電・電機・機械メーカーや電力・ガス会社、通信会社などに就職した人が多かったです。
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自由な校風
学校にもよる話にはなりますが、
髪染OK、パーマOK、ピアスOK、バイトOK、など普通の高校では禁止されているものがOKです。
さらに制服がないので、ジャージで登校なんて当たり前でした。
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先生(教授)の専門性が高い
高専の先生は、教授や准教授と呼ばれる方ばかりで専門性が高いです。
その分野では有名な教授もいらっしゃいます。
癖の強い人もいらっしゃいますが、勉強や進路に関することなら喜んで教えてくれます。
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先生との距離が近い
これは物理的な距離ではなく、すぐに授業の質問を聞きに行ったり、進路の相談をしたりしやすいということです。
先生は、それぞれ研究室というものを持っています。
研究室は職員室というものではなく、先生1人しかいない空間なので、周りを気にすることなく、質問や相談をすることができます。
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寮生活で協調性や家事力が上がる
集団生活をすることで協調性や社会性、自立心が育まれます。
また、洗濯、掃除は全て自分でやらないといけないので、家事力も自然と身に付きます。
(食事は、寮食堂で提供されます)
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春休みが長い
2月の末か3月初めには春休みに入り、4月初めくらいまで続きます。
その長い期間を生かして、勉強に取り組んだり、バイトに勤しむといいでしょう。
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ハイスペックな友人ができる
めちゃくちゃ勉強ができる人やプログラミングができる人など、さまざまな人がいます。
その人たちと友人になることで、自分の知らなかったことを知る機会が増えます。
友人に比べて自分は何もできない・・・と落ち込まず、視野が広がるチャンスだと前向きに考えましょう。
6 高専のデメリット
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賃金が低い
短大卒と同じなので、大学卒や大学院卒に比べると低いです。
初任給で大学卒より3万円、大学院卒より5万円くらいは安い傾向にあります。
▶︎デメリット解消案1
高専卒業後に進学しましょう。
同じ敷地内にある"専攻科"に進学すると大学卒と同じ資格が得られます。
さらに、専攻科の後、大学院に進めば大学院卒の資格も得られます。
もちろん、高専卒業→大学3年時に編入学→大学院という道もあります。
▶︎デメリット解消案2
高専卒で就職しても、仕事の頑張り次第で大学・大学院卒の給料を超えることは可能です。
私の勤める会社でも、高卒で仕事を頑張っている人は、大卒や院卒の人と同じ役職に就いているケースも多いです。
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進路変更しづらい
入試の段階でどこの学科に行くかを決める必要があります。
一度決めた学科に入学すると卒業までずっとその学科です。
途中で学科を変わる人はほとんどいません。
▶︎デメリット解消案1
転科制度を利用する。
学校によるかもしれませんが、早い段階(1年生や2年生など)であれば転科できる制度があります。
いくつか条件がありますが、「この学科は自分に合わない」と感じたら早めに行動しましょう。
▶︎デメリット解消案2
高専3年修了すると高卒と同じ資格となります。
3年修了とともに中退して、大学受験や他の専門学校受験をするのも進路変更の手段の一つです。
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赤点が高い
これも学校によるかもしれませんが、高専の赤点は60点です。
普通の高校よりも点数は高く設定されています。
▶︎デメリット解消案1
過去のテストと同じような問題が出される科目が多いので、先輩から過去問をもらって対策しましょう。
(学内システムで過去問を開示している例あり)
▶︎デメリット解消案2
過去問を下さい!と言えるような先輩がいない方は、顔が広い友人を作りましょう。
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女子が少ない(男目線)
工業系ということで女子学生が少ないです。電気系や機械系の学科ではその傾向が強いです。
最近では、リケジョという言葉も出てきて、高専女子の数を増やそうと高専側が取り組んでいるところもあります。
しかし、普通高校に比べれば圧倒的に少ないのは事実です。
女子学生と友達になりたいとか、付き合いたい!とか考えている方、普通高校とは比較しないようにしましょう。
▶︎デメリット解消案1
バイトをしましょう。
女の子の友達が欲しい人や彼女が欲しい人は、バイトで外との繋がりを持ちましょう。
▶︎デメリット解消案2
普通高校に通う小・中学校のときの友人を大切にしましょう。
友人を通じて、女の子との繋がりを得ることもあります。
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留年が多い
先ほど紹介しましたが、"高専の赤点は高い"が故に普通高校より留年する学生が多いです。
普通に勉強すれば問題ありませんが、特に対策をせずテストに臨むと留年という結果に陥ります。
留年を2年連続してしまうと退学となりますのでご注意を。
▶︎デメリット解消案1
テスト勉強をしましょう。完璧を目指す必要はありません。ある程度の勉強で赤点は回避可能です!
▶︎デメリット解消案2
友人と協力しましょう。
みんなで過去問を集めたり、先生に聞きに行ったり協力すれば赤点回避できます。
7 まとめ
今回は、高専卒業生の私が感じた高専のメリットとデメリットを紹介しました。
冒頭でも述べましたが、学校によって異なる部分もあるかもしれません。
詳細については、自分の希望する高専のホームページをご覧ください。
ぜひ、高専を進路希望先のひとつとして検討してみてください。
他にもこちらの記事もご覧ください。