在宅勤務できない現場~定着に向けた課題とアプローチ~
こんにちは、極貧のマロです。
今回は、私が働いている会社の働き方について感じたことを書いてみます。
I 私の勤務先
私は、電機メーカーの正社員として、工場に勤務しております。
職務としては、総合職ではなく現場作業者という形で働いております。
具体的な職務内容は、品質管理といったところです。
2020年7月の家計簿を見てもらえれば、分かるかと思いますが、低収入でございます。
II 三現主義
三現主義とは、「現場」「現物」「現実」の3つの”現”を重視して仕事をしましょうという考え方です。
トラブルが発生し解決しようとするとき、机上での話し合いではなく、上記の3つの”現”を意識することで問題解決につながりやすいということです。
某刑事ドラマ映画のセリフにある「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!」ということです。
特に、ものを作るメーカーにとってはこの思想は大変重要であります。
現場でトラブルが発生しているのに、現物(メーカーであれば製品や部品を指す)を見ずに、トラブル対応が確実にできるとは考えにくいです。
私の職務だと、常に現物を見たり触ったりしますので、この思想は新人時代に教育されました。
Ⅲ 在宅勤務の試行
勤務先では、コロナ禍以前から在宅勤務をしてもよいとありましたが、実行している人はほぼ居ない状態でした。
そんな中、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言がなされ、私の勤める会社でも在宅勤務が推し進められるようになりました。
実際に私の所属部門でも在宅勤務を始める人がチラホラ出てきました。
ただし、総合職と呼ばれる人だけ。
作業者に在宅勤務を命令しない理由は、
①現場で作業をする人がいなくなると、業務が進まない。
②作業者にデスクワークを命じても何をどうすればいいか分からない。つまり、資料作成の仕方が分からない。
でした。
要は、作業者は現場で作業してろと。
職場や通退勤の電車、バス内での感染リスクを負ってでも出社しろ。ということでした。
Ⅳ 在宅勤務導入の結果
総合職の人だけが在宅勤務を実施しました。
交代制で週に1〜2日程度。
結果的に、出社しないと仕事が進まない。と感じました。
というのも、私のような現場作業者では判断ができない(責任を持てない)ときに、現場に総合職の人がいないと、OK or NGを決められない。
三現主義に基づいて動いている製造現場において、在宅勤務での判断はほぼ不可能だということ。
現物の視覚(見た目)や聴覚(音)情報であれば、現場にいる人がwebカメラを繋げば、ある程度の情報は伝えられる。
しかし、嗅覚(臭い)の情報は、オンラインでは伝えられない。
こんな感じの匂い、○○に似た匂い、などの表現を用いて伝えるが、本当に伝わっているのか?
私の嗅いでいる匂いと、画面越しの人の想像する匂いは合致しているのか?
現場に立つ人間として不安が残る。
そのような状態でOKサインを出せるのか?出されたとしても受け入れていいのか?
その疑問を強く感じた。
Ⅴ 在宅勤務を定着させるには
在宅勤務が推し進められる中、一方で現場に立つ人間はやはり必要である。
結果として、私の所属部門において在宅勤務を行なっている人は数少ない。
製造業において在宅勤務を定着させるには、課題が残る。
この業種において在宅勤務を定着させるには、自宅(もしくは顧客先や出張先、カフェなど社外)から現場が鮮明に分かるようにしなければならない。
ITツール等の導入や現場に立つ人間の表現によりある程度の情報は伝えられるが、先述の通り、嗅覚的に得られる現場の情報は、それの100%を伝えるのはほぼ不可能である。
このことから、現場に立つ人間の表現の仕方にかなり左右されるのではないかと考える。
製造業において、在宅勤務を意味あるものにするには、現場作業者の力量に掛かっているのではなかろうか。